天津で三十数年 ハネウェルの工場、中国市場への自信

 米国の電子制御機器メーカー、ハネウェルの天津工場の外観。(資料写真、天津=新華社配信)

 【新華社天津3月12日】中国天津市の天津経済技術開発区にある米国の電子制御機器メーカー、ハネウェルの天津工場は、同社が中国で最も早い時期に設立した全額出資子会社の一つであり、30年余りの歩みを経て今では同社にとって特に重要な中国国内の生産、研究開発拠点の一つになっている。

 ハネウェル・チャイナの余鋒(よ・ほう)総裁は「健全なインフラと付帯施設により、良好な事業発展環境が形成されている。加えて、天津港の重要な港湾資源がわが社の発展ニーズを満たしている」と語った。

 中国におけるハネウェルの歴史は1935年に上海に開設した販売代理店までさかのぼることができ、特に改革開放以降、同社の中国事業は急速に発展した。

 93年には同社初の中国での合弁企業となるシノペック−ハネウェル(天津)を同市に設立。その後、同市でさらに全額出資子会社を2社設立し、それぞれ産業オートメーションとビルオートメーション分野に特化した経営を行っている。このうち姚波(よう・は)氏が責任者を務めるハネウェル智能建築科技天津工場はビルオートメーションに特化しており、中国の国家級、省級の「グリーン(環境配慮型)工場」認定を取得している。

 中国の国家級グリーン工場は昨年末現在で6430カ所に達しており、その合計生産額は製造業全体の約20%を占めた。

 ハネウェルのスマートビルオートメーションシステムについて紹介する、ハネウェル智能建築科技天津工場の責任者、姚波氏。(2月21日撮影、天津=新華社記者/宋瑞)

 余氏は、中国が2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少転換させ、60年までに実質ゼロにすることを目指して取り組む「双炭(ダブルカーボン)」目標がもたらす機会に特に期待を寄せており、顧客のエネルギーと環境ニーズを満たす製品や技術の開発を進め、中国のパートナーと共に持続可能な未来を築いていくとの考えを示した。

 その上で余氏は「中国の製造業のハイエンド化や既存産業の低炭素化、新エネルギー産業の発展はますます急務となっており、新たな質の生産力(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)の発展を加速するために力強い原動力をもたらしている。これも、わが社のように技術革新と持続可能な発展を重視する外資企業にとって、新たなビジネスチャンスになる」と語った。

 中国の民間シンクタンク、胡潤研究院が先月28日に発表した「2024年在中米国企業特別報告」によると、調査対象企業の中国市場における20~23年の売上高年平均伸び率は、世界市場の1.3倍に当たる12%だった。同研究院は「米国企業の投資は明らかに増加ペースが加速しており、外資が中国経済に対して自信を持っていることが浮き彫りになった」と分析している。

 また、中国米国商会(在中国米商工会議所)が1月に発表した「2025年中国ビジネス環境調査報告」では、調査対象となった米国企業の53%が25年に対中投資を増やす計画で、特に消費関連業界では投資拡大を予定している企業が70%近くに達したことが明らかになった。

 ハネウェル天津工場で、同社製品であるZipline(インラインフィルム膜厚測定装置)のシステムをテストする作業員。(2月21日撮影、天津=新華社記者/宋瑞)

 中国の産業チェーンおよびサプライチェーン(供給網)の集積がもたらす優位性は、ハネウェルの生産と経営の効率化に大いに寄与している。天津工場にある「スマート・シェルフ」がその一例で、姚氏によると、シェルフのネジやナットなどの部品の重量データが供給業者のバックエンドシステムとリアルタイムで連携しており、設定値を下回ると自動的に補充される仕組みになっているため、非常に便利だという。

 同社は中国ですでに、研究開発や製造、サービスなどの複数の領域を網羅するローカライズされたバリューチェーンを完備しており、その生産・製造、運営は中国の大部分の地域に広がっている。

 余氏は、同社が中国で自動化やフューチャーアビエーション、エネルギー転換という三つの発展トレンドに沿った事業展開を加速させ、中国のパートナーと協力しながら新たな質の生産力の発展を支えていく考えを示した。

 昨年開催された中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)は、改革をさらに全面的に深化させる方針を示し、中国が外資による投資や対外投資の管理体制改革を進め、市場化、法治化、国際化された一流のビジネス環境を構築することを決定した。

 この方針は、同社を含む外資企業にさらなる発展への自信と推進力をもたらした。中国国際貿易促進委員会が発表した「2024年第4四半期中国外資ビジネス環境調査報告」によると、調査対象となった外資企業の80%以上が、中国のビジネス環境について「満足」以上と評価した。(記者/宋瑞、梁姉)

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