
【新華社北京3月23日】中国科学院は21日、月探査機「嫦娥6号」が月から持ち帰った試料の分析で、月の裏側の南極エイトケン盆地の形成時期が42億5千万年前であると確定したと発表した。太陽系初期の大規模衝突の歴史を解明するための基準点となり、月や太陽系の初期進化を探る上で重要な科学的意義を持つ。
研究は、中国科学院地質・地球物理研究所の陳意(ちん・い)研究員のチームが実施し、関連論文を中国の英文学術誌ナショナル・サイエンス・レビューに発表した。
衝突作用は天体の形成と進化に特に重要な外因プロセスの一つで、月面には大小さまざまな隕石衝突クレーターが数多く存在し、太陽系の衝突の歴史として残っている。中でも南極エイトケン盆地の直径は約2500キロあり、月で最古かつ最大の衝突の痕跡と考えられている。
従来の研究では、衝突クレーター年代測定法を用いるか、月の隕石サンプルや月の表側から採取したサンプルを分析することで南極エイトケン盆地の形成時期を推測してきた。嫦娥6号が今回、同盆地の試料を初めて持ち帰ったことで、その形成時期を正確に特定する条件が整った。
今回の研究では、月試料5グラムから200マイクロメートル以上の岩片1600個余りを選別。綿密な岩石学分類に基づき代表的なノーライト(斑れい岩の一種)粒子20個を選び、岩石学や地球化学、年代学の研究を行い、盆地の形成時期を42億5千万年前と特定した。
陳氏は研究が「衝突クレーター年代測定法の基準点となり、月や太陽系の初期進化に関する研究をより深めるための重要な指標と科学的根拠を提供する」と語った。