
【新華社貴陽3月22日】世界的ヒットとなった中国のアニメ映画「哪吒之魔童閙海」(ナタ2)で使われた「トン族大歌」が注目を集めている。貴州省のトン族が千年以上にわたって歌い継いできた多声合唱音楽で、指揮や伴奏なしに歌声が自然に合わさっていくのが特徴。中国の国家級無形文化遺産に指定されるとともに国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録され、近年は海外でも披露されている。
劇中で歌唱を担当した貴州の舞楽蝉歌楽団も、映画のヒットとともに多くの人々に知られるようになった。楽団の責任者である楊想妮(よう・そうじ)さんは「トン族大歌と『ナタ2』が描く東洋の幻想的な世界観は完璧に融合し、壮大な叙事詩を描き出している。無形文化遺産と中国アニメが合わさることで、驚くべき魅力が生まれた」と語る。

同省の黔東南(けんとうなん)ミャオ族トン族自治州の黎平県肇興侗寨は中国最大のトン族村の一つで、トン族大歌伝承の主要な舞台の一つにもなってきた。祭りの時期になると、華やかな民族衣装を身にまとった人々が美しい歌声を響かせ、豊かな生活を喜び合う。

トン族大歌は国際的な舞台にも進出し、貴州省の文化観光PRのシンボルにもなっている。黎平県侗学研究会の呉家佳(ご・かか)副会長は「私たちは多くの国や地域で公演をしてきた。観客の驚嘆の表情や称賛の言葉から『民族のものは世界のもの(民族文化は普遍的な価値を持つ)』という言葉の意味を実感している」と語った。(記者/周宣妮、駱飛、呉思)