中3自殺…裁判長、部活いじめとの関係認めず「部活で中3が表向きは前向き。自殺を予見できたと認められぬ」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県川口市で2017年、当時中学3年生だった女子生徒(14)が自殺したのはいじめが原因だったとして、遺族が同級生と両親に約9700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、さいたま地裁であった。市川多美子裁判長は「いじめと自殺の因果関係は認められない」とし、いじめの一部を不法行為として約33万円の支払いを命じた。

 訴状などによると、女子生徒は川口市内の中学校に入学し、吹奏楽部に入部。その後、人間関係の悩みを書きためたノートを奪われて捨てられるなどのいじめを受け、2017年5月に自殺した。

 判決理由で市川裁判長は、同級生がノートを捨てたことや友人に「あいつ、まじ殺す」と言ったことは違法ないじめ行為に当たると認定した。

 一方、「女子生徒が自らの意思で部活動を継続し、表向きは前向きに取り組む姿勢を見せていたことなどを総合的に考慮すれば、同級生が自殺を予見しえたとは認められず、いじめと自殺に因果関係は認められない」と判断した。

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