日本の魂が入っている…ヌートバー選手の祖父母ら東松山で歓喜 「野球絵馬」に書いた願い全て成就

優勝が決まり万歳をして喜ぶ榎田達治さん(中央)、左は妻の和子さん、右は森田光一市長=埼玉県東松山市総合会館

 野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、前回王者の米国に3―2で競り勝ち、3大会ぶり3度目の優勝を果した「侍ジャパン」。海外生まれの日系人として初めて日本代表となったラーズ・ヌートバー選手(25)の母久美子さん(57)の実家がある埼玉県東松山市では、総合会館1階多目的室の「ヌートバー選手応援メッセージボード」の一角にテレビが設置され、祖父母の榎田達治さん(84)、和子さん(81)らが声援を送った。優勝を決めると、森田光一市長らと握手を交わし、「よくやった。日本の魂が入っています」と走攻守で活躍した孫をたたえ、応援した市民らと喜びを分かち合った。

 榎田夫妻は試合開始の22日午前8時前に訪れ、市民らと一緒に、画面越しにエールを送った。二回表、トレー・ターナー選手に先制ソロ本塁打を浴びたが、その裏、村上宗隆選手の今大会第1号ソロで追い付く。さらに1死満塁のチャンスで登場したヌートバー選手の内野ゴロで逆転。その後、3―2で迎えた九回は「3番・指名打者」で出場した大谷翔平選手が登板して試合を締めた。

 達治さんは、走攻守で大活躍した孫について「皆さんの応援をもらってよくやった。日本の魂が入っています」と喜び、「できれば本塁打も打ってほしいと思ったが、(予想以上に)活躍して、応援してくださった皆さんに感謝でいっぱいです」と話した。

 地元の東松山ベースボールクラブの及川満代表(63)は、卒団生(中学3年生)5人と応援。坂本廉之輔さん(15)は「(ヌートバー選手は)走攻守をしっかりやっていたのですごいと思いました。(将来は)自分も日本代表になりたいと思います」と刺激を受けていた。及川代表も「(この優勝は)チームの子どもたちの励みになる」。

 ヌートバー選手の母久美子さんの同級生で、中高校時代のソフト部の仲間だった金子清美さん(57)は、松山女子高のソフト部仲間(やわら会)と、おそろいのTシャツを作って応援。仕事でテレビ観戦はできなかったものの、仲間と無料通信アプリLINE(ライン)で戦況の情報を交換した。ヌートバー選手が来日した時、地元の箭弓(やきゅう)稲荷神社に奉納した「野球絵馬」に「けがなく、楽しく、大活躍、世界一奪還」と書いたが、「その通り、全部やってくれた」と声を弾ませた。

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