「正月に昔話できるように」 武南高サッカー部、名門復活へ狼煙 全面人工芝の新拠点、白星で発進

初の試合が行われたBUNANフットボールフィールド=4日午前、埼玉県越谷市内

 名門復活の起爆剤となるか―。武南高校サッカー部の新たな練習拠点として、全面人工芝に改修された「BUNANフットボールフィールド」が4日に初試合を迎え、武南が3―1で浦和西を下して新拠点での初陣を飾った。

■「武南カラー」

 埼玉県越谷市西新井の同高第2グラウンドが、約1年間の改修を経て土から人工芝に生まれ変わった。改修前は長辺が94メートルほどしかなく、日本サッカー協会が全国的規模の大会に規定するピッチのサイズ(105メートル×68メートル)を確保できなかった。

 このたび隣地購入のめどが立ち、学校側も全面協力。正規サイズのピッチに加え、試合と同時にウオーミングアップなどが行えるように四方に余裕を持たせた。導線や景観もこだわり、管理棟は伝統の「武南カラー」に塗装した。

■伝統を次代へ

 蕨市塚越にある学校敷地内のグラウンドは、ピッチの半面ほどの広さしかない。2019年3月に勇退した大山照人前監督は、狭いスペースの中で自由な発想を追求し、第60回全国高校選手権優勝など同高サッカー部を全国屈指の名門に鍛え上げた。

 後任を託されたOBの内野慎一郎監督は「大山先生をはじめ、先輩方の勝利が積み重なって今がある」と伝統を次代に受け継ぐ覚悟をにじませ、「選手たちには自分たちのスタイルで勝つ喜びを知ってほしい」と実感を込める。

■OBを選手権へ

 初試合の県高校新人大会南部支部予選準決勝は、武南が前半に3点を先行し、浦和西に勝利。2ゴールの高橋秀太選手は「土の頃は毎回ラインを引いていた。来てすぐにサッカーができる環境に感謝したい」と目を輝かせた。

 自前の試合会場を手にしたことで「自分たちのリズムで(対戦相手を)呼べることは大きなメリット」と内野監督。ピッチを広く使えることで俯瞰(ふかん)的なサッカー観を養う効果も期待できるという。

 06(平成18)年度の第85回大会を最後に、全国高校選手権の埼玉代表から遠ざかっている伝統のユニホーム。内野監督は「OBの方々が正月に集まって昔話ができるように、選手権へ招待したい」と飛躍を誓った。

試合に臨む武南イレブン。右奥は武南カラーに染め上げられた管理棟

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