13万人が使いやすい駅に エレベーターない東上線・朝霞台駅 バリアフリー整備へ朝霞市と東武鉄道が覚書

朝霞台駅南口の駅前ロータリーから駅改札に向かう上り階段と併設されたエスカレーター。スロープはなく、車いす利用者は係員を呼び、エスカレーターの幅を広げて利用している=埼玉県朝霞市東弁財

 車いす対応のエスカレーターはあるものの、スロープやエレベーターなどが設置されていない東武東上線朝霞台駅を巡り、埼玉県朝霞市と東武鉄道は「朝霞台駅エレベーター設置等バリアフリー整備の検討推進に関する覚書」を締結した。市には障害者やベビーカーを使用する子育て中の母親らから、同駅のエレベーターなどの設置を求める要望や意見が出されていた。覚書の締結により、同駅のバリアフリー化に向けた本格的な協議が促進されそうだ。

 現在の朝霞台駅は1974(昭和49)年、橋上駅として建設された。島型ホーム2面で上下4線路を設置。JR武蔵野線北朝霞駅との乗り換え駅にもなっており、2021年度の1日の乗降客数は約13万1千人で、東上線の駅では池袋駅と和光市駅に次いで3番目に多い。

 市内にある東上線朝霞駅と北朝霞駅にはエレベーターが設置されており、朝霞台駅のバリアフリー化は長年の懸案事項。ただ、同駅周辺は建築基準法の防火地域に指定され、改築は駅舎全体を耐火構造に改修する必要があり、現状でのエレベーター設置は困難な状況が続いている。

 こうした中、駅舎の改修を留保し、道路法に基づく道路工作物としてエレベーターを設置する方策が浮上。駅舎の改築より費用がかからず、工期も短縮できるとして、市側は22年4月、東武鉄道に覚書締結を打診。6月から覚書に基づいて、工期や費用を含めた検討に着手している。

 覚書を締結したことについて、障害者の課題解決に取り組んでいる同市障害者団体協議会の坂本※(さとし)会長は「障害のある東洋大の学生からも不便という指摘を受けており、覚書は一歩前進。バリアフリー法が制定されている中、これを契機に協議を進めてほしい」と話している。    ※は「りっしんべん」に「奈」

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