女性の貧困、ひとり親家庭…課題解決には女性の目線「必要」 さいたま市議会、会派超えた女性市議ら勉強会

内閣府男女共同参画局の担当者によるオンライン講演会に参加した市議ら=11日、さいたま市役所

 さいたま市議会の女性市議12人が政党や会派を超えて勉強会を重ねている。女性の貧困、ひとり親家庭、子育て、男女共同参画などの課題を共有し、女性政策を具体化、推進していくのが目的。市議らは「女性の課題解決には、女性目線が必要」と意義を語る。

 「さいたま市女性の活躍を推進する議員連絡会」は2016年に発足した。性の多様性や性教育、予期せぬ妊娠と中絶、選択的夫婦別姓、議会のハラスメントなどをテーマに、講師を招いて勉強会を年に複数回開いたり、現地視察を実施。男性市議や市職員も参加している。

 11日には、内閣府男女共同参画局の担当者が「第5次男女共同参画計画における政府の方針と地方行政及び議会に対する期待」をテーマにオンラインで講演した。21年のジェンダー・ギャップ指数で、日本は世界156カ国のうち120位とする数値などを示しながら、女性政策の課題を説明した。参加した市議は、女性の貧困や男女共同参画などの課題を質問した。

 連絡会による横のつながりから、市議会や委員会の質疑で、会派を超えて補完し合いながら進める場合もあるという。20年3月には、女子差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書、同年6月には、刑法等の性犯罪に関する規定の改正に向けた取り組みを求める意見書を全会派一致で可決した。市議らは「連絡会による勉強会の大きな成果」としている。

 女性市議らは、国会議員や地方議員、市の幹部職員の女性比率の上昇を求めている。市人事課によると、今年4月現在、課長以上の女性管理職の割合は過去最高の22.8%。しかし、女性の副市長はこれまで登用されたことがなく、局長は過去10年で2人。1人は総務省からの出向で、生え抜き職員は1人だけだった。

 市議らは「女性政策を実行するためには、議員を男女同数にする必要がある。女性の副市長、局長をもっと登用すべき」と指摘。一方で、「現状の環境では、局長になろうと手を挙げる女性職員が少ないのも事実」と話している。

■割合20% 平均上回る

 さいたま市議会(定数60)の女性市議は12人。女性の割合は20%で、地方議会の全国平均15%を上回っている。所属する会派は民主改革6人、さいたま自民1人、公明2人、共産3人。

 連絡会代表の添野ふみ子市議(民主改革)は「会派や政党の枠を超えた形で、政策課題を率直に話し合える関係性ができている。男女が半々にならないと、物事は進んでいかない。土壌づくりを一緒に取り組んでいきたい」と話す。

 副代表の稲川智美市議(さいたま自民)は「女性議員が共通課題を認識できている。市の職員も議員も男性の割合が圧倒的に多く、なかなか視点が行かない。福祉や子育てなど女性政策をもっと進めていく必要がある」と語った。

 西沢鈴子市議(公明)は「男性が思い付かないテーマを掘り下げて学び、共有できている。生理の貧困や災害時の避難所運営など、女性の目線が必要な政策がある。社会の意識改革や女性が働きやすい環境整備も必要」と指摘した。

 金子昭代市議(共産)は「勉強会や現場視察で政策の具体化に役立っている。共産党は他の会派と対立することは多いが、連絡会の中では女性の課題解決や男女平等の推進で一致することが多く、貴重な場になっている」と話した。

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