開通は27年の予定、国道140号「大滝トンネル」 観光地アクセス向上、便利なショートカット期待

今月から始まった大滝トンネルの掘削工事=18日午後11時ごろ、秩父市大滝の強石地区

 西関東連絡道路の一部となる、国道140号「大滝トンネル」の掘削工事が13日から始まった。埼玉県秩父市大滝の強石~落合地区を結ぶトンネル延長2053メートルの工事で、開通後は走行時間の短縮や安全性の向上、観光地へのアクセス改善など多くの効果が期待できる。工事費は約52億円。工期は2025年3月までで、27年の開通を目指す。

 西関東連絡道路は、関越自動車道花園インターチェンジ(深谷市)と新山梨環状道路(山梨県)を結ぶ、延長約110キロの地域高規格道路。県内ではこれまでに、西関東連絡道路の一部を構成する皆野寄居バイパスと皆野秩父バイパスが開通している。

 大滝区域の国道140号線現道は、急斜面の山麓 (さんろく)を切り開いた道路のため、カーブが連続し、落石や岩盤崩落事故が多発している。大滝トンネルは、危険な現道7キロの区間を約5キロ(10分)ショートカット。災害に強い道路となり、交通事故の減少と地域の防災力強化につながる。

 強石地区から開始したトンネル掘削工事は、大滝トンネルJV工事事務所(大林・西武・斎藤特定建設工事共同企業体)のメンバー約20人が昼夜2交代制で実施。「ドリルNAVI」などの最新遠隔操作システムを活用しながら、掘削、ずり出し、吹き付けコンクリートなどの一連のサイクルを繰り返していく。18日午前時点では、約8メートルのトンネルを掘り進めた。

 同事務所の古家義信所長(45)は「事故を起こさないことを第一に考え、耐震性や安全性に優れたトンネルに仕上げたい」と話していた。

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