下りる遮断機、警報も…膝痛め動けない男性が踏切に 自然に出た連係で救助、中学バスケ部の5人に拍手

木村宏志署長(後列右)から感謝状を贈呈された川越市立砂中学校の生徒たちと矢部智史校長(同左)=23日、川越署

 踏切内で動けなくなった高齢男性を救助したとして、埼玉県の川越署(木村宏志署長)は、川越市立砂中学校3年生の5人に感謝状を贈った。5人は男子バスケットボール部のチームメート。木村署長は「皆さんが普段の部活動で取り組んでいる連係プレーが発揮され、尊い命が救われた」とたたえた。

 感謝状を贈呈されたのは、安藤陸生さん、浜口樹さん、並木孝太朗さん、原田千滉さん、宮崎皓暉さん=いずれも(14)。同署などによると、5人は12日午後6時5分ごろ、学校での部活動を終え帰宅する途中、川越市南田島のJR川越線踏切付近で、自転車を押して歩く80代男性を発見した。男性に声をかけて付き添っていると、男性が踏切内で動けなくなり、電車の接近を知らせる警報機が鳴動。5人は非常ボタンを押して電車に異常を知らせ、男性を踏切内から連れ出したという。

 部長の浜口さんは「道に迷っているのではないかと思い、声をかけた」と振り返る。男性は当時、膝を痛めており、踏切に入ったところで足が動かなくなってしまった。

 5人の役割分担は見事だった。浜口さんと並木さんは、近くの会社から出てきた女性に駆け寄って110番を依頼。原田さんは「ボタンがあることは知っていたし、迷いはなかった」と警報機に設置されている非常ボタンを押した。安藤さんは下りた遮断機を手で押し上げ、宮崎さんは戻ってきた原田さんと一緒に男性を支えて歩いてもらい、踏切から救出したという。

 「仲間の連係は自然に出た。自分でも驚いている」と副部長の並木さん。宮崎さんは「男性を無事に助けられてよかった」と喜ぶ。安藤さんは「当たり前のことをしただけ。でも、感謝状をもらえてうれしい」とほほ笑む。同校の矢部智史校長(54)は「今年の目標として、生徒たちには主体的に行動できるようになってほしいと話してきたが、実践してくれた。彼らは砂中の誇り」と拍手を送った。

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