長崎日大が逆転負け エース廣田、好投も… 「1球の重さ」再び胸に

【2回戦、長崎日大-龍谷大平安】緩急自在に力投する長崎日大のエース廣田=甲子園

 九回に2点差を追いつかれて延長タイブレークの末に1回戦敗退した昨春。その悔しさもばねに連続出場した長崎日大の“2年分の1勝”に懸ける覚悟はどこにも負けないはずだった。それでも勝利の女神はほほ笑んでくれなかった。「どんなにいいところがあったとしても、チームの勝ちにつなげられなければ駄目だと思う」。エース廣田は結果を強調した。
 3回戦に進んだ海星の選手も応援に駆けつけた中、廣田は序盤からお手本のような投球を披露。3ボールどころか2ボールすらほとんど与えず、90~130キロ台の球速差を生かして打者を手玉に取った。二回に指が引っかかった暴投で1点を献上したが、三~六回は1安打の小気味よい快投だった。
 七回は自らのバットで3点目。だが、その裏に悪夢が待っていた。2死無走者から、まさかの5連打。足を滑らせた2度目の暴投、代打陣による不運なポテンヒットや外野手のグラブをかすめた当たりなど、わずかな差が明暗を分けた。
 平山監督は「1点差で負けるのはよく監督の差と言われる。そうじゃないかな」と選手たちをかばった。その上で、力投した廣田を「マウンドでの強気な表情、冬場の成果を発揮したいという気持ちを見ることができた」と評価した。
 救援した西尾のほか、例年以上に厚い投手層の頂点に立つ背番号1は最後まで無念さを押し殺して誓った。「昨年に続いて1球の重さを教えられた。甲子園で勝つのは簡単じゃない。夏は振れるバッターが増えるけど、思い通りにさせない」


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