読書の薦め

 1カ月に1冊も本を読まない高校生が5割を超えているそうだ。全国学校図書館協議会の調査では、昨年5月の平均読書数は1.6冊。「0冊」は51.1%に達し、ここ10年以上5割前後で推移している。勉強に部活にSNSにと何かと忙しいのだろうか▲先日、読書教育の充実策を考えるフォーラム(県朝の読書連絡会主催)が大村市であり、本の魅力を伝える学校の先生方やOB、図書関係者らの言葉が印象的だった▲兵庫県の元高校教諭、中西英代さんは「立場や境遇、文化が違う人、弱者への想像力を養うのが読書」。そう、他者に思いをはせる能力の育成は、ひいては差別や戦争のない社会の実現につながるはずだ▲「視野の狭さを教え、独りよがりの自分を戒めてくれる」「人との出会いには限りがあるが、本は時間や空間を超えた出会いがある」「効率重視の速度感、情報の洪水から解放される」。本への愛着にあふれ、心に留めておきたい言葉が並んだ▲ちなみに本県は読書好きの子どもたちが比較的多いようだ。平均読書数は小中学生、高校生とも全国を上回っている。長年にわたって朝の読書活動などを推進した関係者の努力の結果だろう▲読書教育は学校だけが担うものでもあるまい。まずは大人たちがスマホを置き、本に親しむ姿を子どもたちに見せていきたい。(真)

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