“頼れず抱え込む家族” 医療的ケア児の支援 『施設、人材なお不足』長崎県内

学校関係者らに見守られながら授業を受けるこはる=県内

 「医療的ケア児」は、医療技術の進歩に伴い全国的に増加傾向にある。県が2022年3月に実施した実態調査では少なくとも県内に医療的ケア児・者は405人いることが分かっている。このうち在宅の医療的ケア児・者は276人で、年齢分布では、5歳未満が68人と一番多く、5~10歳未満は53人、10~15歳未満は41人とつづく。
 医療的ケア児とその家族を支援する法律に基づき、昨年8月に設置された県医療的ケア児支援センター「つなぐ」(諫早市)によると、現在県内の短期入所が可能な施設は6カ所程と少なく、所在も県央に集中。県内全域の設置が急務だが、高度な医療行為が求められ、子ども1人に看護師が3人必要になる場合もあるなど人材確保が難しく、簡単には進まない点が「悩ましい」という。
 同センターの医療的ケア児等コーディネーター、井村弘子さん(62)は「医療的ケア児は増えているのにフォロー体制はできていない」として、「私の子だから面倒を見なければと周りに頼れず家族で抱え込む人は多い」と指摘。一方で「これまで親御さんには介護、看護ではなく“子育て”をと伝えてきた。情報アクセスが容易になったせいか、障害を丸ごと受け止めて子育てをしようとする親御さんを、数十年前より目にするようになった」と話す。
 日常的な介護の必要性から家族の離職も課題の一つになっている。厚労省などによると、同法は保育所の設置者に必要に応じて看護師などの配置を求め、受け入れの幅を広げるなどして離職防止を図る。また、保護者の付き添いがなくても地域の学校に通えるよう、学校設置者に看護師の配置を求めるなどしている。

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