V長崎 新戦力2023<FW、MF編> 前線のキープ力向上 個性豊かなアタッカー陣

5年ぶりに復帰したFWフアンマ。前線のキーマンになる(写真左)、J1川崎から期限付き移籍のFW宮城。果敢な仕掛けでチャンスをつくる

 サッカーJ2のV・ファーレン長崎に今季、新たに11人の選手が加わった。センターフォワードとセンターバックに、対人の強さを持つ主軸級の選手を重点補強。攻守ともに安定感を追求した。期待の新戦力を2回に分けて紹介する。1回目は「FW、MF編」。

 昨季は前線でボールを収めきれず、得点源のエジガルジュニオがゴールに近い位置でプレーさせてもらえない試合が散見された。今季は前線にキープ力のある選手を求め、サイドに打開力のあるアタッカータイプを並べた。

 中でも、5年ぶりにV長崎へ復帰するFWフアンマ・デルガド(32)が最注目選手に挙げられる。2017年に母国スペインから長崎へやってくると、J1昇格に大きく貢献し、19年は移籍先のJ2大宮がリーグ3位に。さらに20年は福岡をJ1に導き、21、22年もJ1に定着させるなど確実に結果を残している。以前より攻守に円熟味が増し、前線の起点として期待大。「個人的に15得点決めて昇格に貢献したい」という言葉にも説得力がある。エジガルジュニオとの強力ツートップは他チームの脅威となる。

スピードとフィジカルを武器にサイドで勝負するMF増山

 J1川崎から期限付き移籍で加入したFW宮城天(21)は、個の力で局面を変えられるドリブラー。敵陣深くまで進入してチャンスをつくる。川崎でも若手のホープとして徐々に出場機会を増やしていたが「成長に一番大事なのは経験」と、V長崎のユニホームに袖を通す決意をした。
 「カリーレ監督からスピードとフィジカルを気に入ってもらえた」と語るMF増山朝陽(26)は左右のポジションをこなし「多くの位置ができることはいいこと。プレーの幅も広がる」と成長に貪欲だ。J2大分から完全移籍。練習試合ではサイドバックも経験した。V長崎からJ1・C大阪へ羽ばたいた毎熊晟矢のサクセスストーリーを思い起こさせる。

昨夏から練習に参加し、契約を勝ち取ったMF大渕。エリートリーグで2試合出場している(写真左)、ボランチで出場機会を狙うMF瀬畠。トレーニングマッチでは得点を奪った

 ルーキー2人もアピールを続ける。東洋大から加入したMF瀬畠義成(22)はパスの供給に優れる攻撃型ボランチ。トレーニングマッチでは得点も記録した。東福岡高卒のMF大渕来珠(19)は昨夏から練習に参加。エリートリーグ2試合に出場し、契約を勝ち取った。サイドを主戦場とする。
 また、J2仙台に期限付き移籍していたMF名倉巧(25)が復帰。小柄な体格を逆手に取り、細かいタッチで狭いエリアでも違いをつくることができる。「よりゴールに近いところでボールを受ければ得点を生み出す」。トップ下が得意で、クレイソンらとの定位置争いも熱を帯びそうだ。


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