“混雑時10分超” エレベーター待ち 悩みの種 『長崎市新庁舎開庁から1カ月』 展望フロア用、開放へ

エレベーターを待つ市職員の列=長崎市役所

 長崎市役所が、桜町から魚の町の市公会堂跡地に移転して1カ月。対象のすべての部局が1月末までに引っ越しを終え、新庁舎で業務を始めた。目下、市民や職員を悩ませているのが「エレベーターの待ち時間問題」。混雑する出勤時間帯には10分以上に及ぶことも。高層オフィスならではの課題に直面する新庁舎の現状を調べた。

□ “各駅停車”
 2日午前8時35分。新庁舎のエレベーターホールには職員約80人の列ができていた。誘導係が階段や別のエレベーターの利用を呼びかける。18階まで出勤するという男性職員は「庁舎に着いてから職場までいつも5~10分はかかる」と苦笑いを浮かべた。
 いざ乗り込んでも、“各駅停車”状態で時間がかかる。列を見て諦め、階段へ向かう人もいた。一般利用者にも影響が出ている。庁舎に出入りする業者は「もう10分くらい待ってる」とこぼす。「エレベーターが来ない」と窓口に相談に来る市民もいるという。

□ 東側に集中
 1月4日に開庁した新庁舎は地上19階、地下1階建て。4階までは正面玄関(東側)のエスカレーターで行き来できる。エレベーターは東側(4基)、南玄関(1基)、西玄関(5基)に設置されており、4階や6階など低層階用もある。
 中でも、正面玄関に近い東側に利用者が集中。4基のうち1基は現在、訪れる市民が多い展望フロア(19階)用にしており、開庁時間中は低層階用を除く残る2基を職員や市民が主に使っている。台数が一番多い西玄関は市民にはあまり存在を知られていない。
 市大型事業推進室によると、導入したエレベーターは最新モデルで、同じ階に複数台が移動しないよう効率的に動くのが特徴。最も混み合う出勤時間帯はすべて1階に下りるよう調整しているが、混雑解消には至っていないのが現状だ。

□ 岐阜市では
 他の自治体の高層庁舎で同様の問題は起きていないのか。人口約40万、職員数2千人程度と規模感が近い岐阜市の新庁舎は2021年5月に開庁した。エレベーターは計7基(うち2基は職員用)。当初は待ち時間が発生していたが、職員に職員用を使うことや、奇数階・偶数階で使用するエレベーターを分けるようにしたところ、混雑は改善されたという。
 職員の時差出勤を導入するのも一つの手だが、長崎市大型事業推進室の中井裕二室長は「新庁舎で働く約2100人の職員は窓口業務などがあり時差出勤しにくい」と説明。このため、展望フロア用を6日から開放。市民の利用が多い窓口は低層階(1~4階)に集めているため、市民に対してはエスカレーターや低層階専用エレベーターを使うよう呼びかけるなどして解決を図る方針だ。


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