政財界トップ 長崎大3学部移転に好意的 合意形成など課題も 長崎サミット

キャンパスの移転構想について語る河野学長=長崎市元船町、平安閣サンプリエール

 長崎大経済学部などを長崎市常盤町の県有地に移転する構想が示された1日の「長崎サミット」。出席した地元産官学トップからは「企業と学生の接点が増える」と好意的な受け止めの一方、関係者の合意形成など課題が指摘された。ただ、学部内や近隣商店街からは慎重な議論を求める声も上がった。
 同大キャンパス移転を巡っては、昨年8月の前回サミットで、技術革新や課題解決につなげるオープンイノベーション、リカレント教育(社会人の学び直し)などを推進するため市中心部への立地を望む意見が出た。その後、同大が県市と可能性について協議に入った。
 今回のサミット後の会見で、河野茂学長は移転先の候補地を選んだ理由について「長崎市の陸と海の玄関口に近く、企業とのつながりを考えた時、魅力的な場所」と説明した。
 田上富久市長は「さまざまな機能をコンパクトに集めようとする(長崎市の)まちづくりの方向性と合致している。プラスの影響を及ぼすのは間違いないが、まち全体の中で効果を大きくしていく発想が大事だ」と述べた。
 長崎商工会議所の森拓二郎会頭は「若者があふれて活気づくような効果が街でみられるといい」と期待。県経営者協会の石瀬史朗会長も評価した上で「どのように大学と連携し、学びの場を築けるかを協議する必要がある」と指摘した。
 移転対象に挙げられた同大経済学部の周辺では、さまざまな意見が聞かれた。ある教員は「まずは(経済学部がある)片淵キャンパスの有効利用を考えるのが先では」と疑問符を付けた。同学部1年の女子学生は「(移転先は)今より通いやすく、周りに商業施設もある」と理解を示した。
 片淵キャンパスからの移転に反対している新大工町商店街振興組合の児島正吾副理事長は「商店街と経済学部が長年築いてきた関係性がなくなる。大学にとってもメリットが薄いのではないか」と首をかしげた。


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