長崎県内の高規格道路網 整備の現状は? 計画総延長の6割供用中 事業費確保が課題

県内の高規格道路整備状況

 長崎県は産業や観光の振興、緊急輸送路の確保などを目的に県内の広域道路ネットワーク構築を進めている。このうち高規格道路は9路線あり、総延長は調査中も含め265キロ。その6割に当たる158キロを供用している。整備の現状をまとめた。
 県は2021年に「県新広域道路交通計画」を策定。主要都市間の交流促進や連携強化をはじめ、地域活性化の支援、慢性的な交通渋滞の解消・緩和、災害時の物流人流の確保-を基本方針に掲げた。
 高規格道路は一部を除き自動車専用。既に▽長崎自動車道(うち県内46キロ)▽長崎バイパス(15キロ)▽川平有料道路(5キロ)の3路線が全線供用中。残る▽西九州自動車道(うち県内60キロ)▽西彼杵道路(46キロ)▽長崎南北幹線道路(15キロ)▽島原道路(50キロ)▽長崎南環状線(13キロ)▽東彼杵道路(15キロ)の6路線で整備が続いている。

 このうち2路線は本年度、未整備区間の一部が新規事業化された。一つは長崎市と西彼時津町を結ぶ予定の長崎南北幹線道路のうち、長崎市茂里町-滑石(5.3キロ)。もう一つは佐世保市と時津町をつなぐ予定の西彼杵道路のうち、西海市西彼町大串-白似田(6.6キロ)。県道路建設課によると、国や自治体の財源が限られる中で、同時に2カ所が事業化されるケースは、まれだという。
 2月18日には、西彼杵道路のうち時津町日並-野田(3.4キロ)が新たに供用開始する。将来、長崎南北幹線道路と接続すれば、長崎市-佐世保市の所要時間が現在の1時間16分(長崎道経由)や1時間29分(西彼杵半島経由)から、54分に短縮される。
 一方、島原道路は、南島原市深江町と長崎自動車道・諫早インターチェンジ(IC)を直結する予定で、22キロが供用中。昨年5月、諫早市内の長野IC-栗面IC(2.7キロ)が供用を開始し、長野ICから諫早ICまで5分程度と利便性は格段に上がった。さらに島原市出平-雲仙市吾妻町(20.2キロ)などで土地取得や工事を進める。

工事が続いている島原道路=島原市原口町

 長崎、福岡、佐賀3県にまたがる西九州自動車道は、県内では41キロを供用中。北松佐々町-松浦市の工事などが続く。東彼杵道路は、佐世保市と東彼東彼杵町を結ぶ予定になっており、事業化の前段階となる調査でルート帯の検討が進む。
 6路線とも課題は事業費の確保だ。県や地元期成会などが毎年、国に要望を続けており、県道路建設課は「県土の多くが半島で形成されており、地域間をつなぐ道路が不可欠」と強調する。
 県新広域道路交通計画はこのほか、▽長崎外環状道路▽長崎空港連絡道路▽有明海沿岸道路(鹿島諫早間)▽島原天草長島連絡道路▽島原半島西回り道路-の5路線について、今後20~30年後に高規格道路として期待される「構想路線」と位置付けている。


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