「国連は何ができるのか」高校生の主張コン 井手さん(九文高3年)が法務大臣賞

本年度の「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール中央大会」で法務大臣賞に輝いた井手さん=佐世保市、九州文化学園高

 九州文化学園高衛生看護科3年の井手美優さん(18)が、本年度の「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール中央大会」で、法務大臣賞に輝いた。全国上位4人が受賞する特賞の一つで、3月に特賞受賞者4人で米ニューヨークの国連本部に研修に行く。

 井手さんは、教員に声をかけられ3年生の4月に弁論部に入部。昨年8月に初めて挑んだ「平和へのメッセージfrom知覧第33回スピーチコンテスト」(鹿児島県南九州市主催)高校生の部で、全国2031人の応募者の中から最優秀賞に輝くなど活躍している。
 同コンクールは外務省などが主催し69回目。国連に関する三つのテーマから一つを選び作文にまとめる。全国339人の中から予選を通過した26人が、昨年10月に東京の国連大学で開かれた大会に参加。井手さんは「今の国際情勢の中で、国連は何ができるのか」というテーマを選択し、「同じテーブルに」と題して発表した。
 学校生活の中で、言動が問題になり交流サイト(SNS)のグループから外されたA子がいたことに触れた後、ロシアのウクライナ侵攻に話を展開。ロシアを国連の常任理事国から外すべきだといった声がある一方で、追放はさらなる暴走を呼ぶ可能性があり、同じテーブルに着いている限り解決の糸口があると考える声があることも紹介した。
 グローバル化が進み、新型コロナウイルスや温暖化など地球規模の問題も多いことから同じテーブルで話し合うことは重要だとして、「私たち一人一人が同じテーブルに着いているという意識を持つことが、国連の可能性を広げることにつながる」とした。そして友人らにA子と昼ご飯を一緒に食べないかと誘ったことに触れ、締めくくった。
 井手さんは、3月の国連本部での研修について、「総会ホールで加盟国の人たちが座る椅子に座って、“同じテーブル”での世界の視点を体験したい」と目を輝かせた。今後は保健師を目指し看護専門学校に進む予定で、「大会出場で多様な考えに触れたことで視野が広がった。この体験を生かして目の前の人の痛みに気づける保健師になりたい」と笑顔で話した。


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