修学旅行先に“再エネの島”アピール 大阪の高校生、五島で洋上風力発電見学

浮体式洋上風力発電施設を見学する修学旅行生=五島市崎山沖

 修学旅行で長崎県五島市を訪れた学生が先月、初めて同市沖で稼働している浮体式洋上風力発電施設を見学した。市や市観光協会は、世界文化遺産の歴史文化や貴重な自然に加え、新たに“五島の再生可能エネルギー”を目玉に、修学旅行先として、旅行会社や学校にアピールする。
 同施設を見学したのは、大阪府の初芝立命館高の2年生。元々、海外を予定していたが、新型コロナの影響で急きょ国内の4コースに変更。五島には11月14~16日、約80人が滞在した。
 福江港ターミナルで市の担当者から説明を聞いた後、海上タクシーで崎山沖の同施設へ。海面の高さ約100メートルの巨大な構造物を間近に驚き、カメラに収めた。重野奏乃音さん(16)は「自然の力で電気ができるのがすごい」、谷口颯さん(17)は「近くで見て迫力がある。地球に優しい取り組み」と感想を話した。

浮体式洋上風力発電の設置計画について市の担当者の説明を聞く生徒=五島市東浜町2丁目、福江港ターミナル

 この後、海上タクシーで世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産に含まれる久賀島の旧五輪教会堂を訪問。福江島では、貴重な地質などを認定する日本ジオパークの見どころの鐙瀬(あぶんぜ)溶岩海岸などを巡った。
 同市の修学旅行生は2019年度、過去最多の35校約5300人だったが、新型コロナ禍で、21年度は7校約400人にとどまった。地元協議会は回復に向け、中断していた体験型民泊の受け入れを来年度、200人を上限に再開する。
 崎山沖では、浮体式洋上風力発電施設8基が来年までに設置される予定で、全国的に注目を集めている。また、新型コロナ禍で学校が修学旅行の行き先を海外から国内に変更する傾向があり、九州の自治体でも誘致が活発化している。市文化観光課は「自然体験や歴史文化に加え、環境やSDGs(持続可能な開発目標)の学びの観点からも洋上風力発電は強み。差別化を図り、推進していきたい」としている。


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