元抑留者のオランダ人女性2人 長崎で被爆者と交流 日蘭平和への思い共有

笑顔で写真に納まる(左から)ミデルブルフ・ビーハーさん、築城さん、エンシング・ブレスラウさん=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 第2次大戦中、旧日本軍に抑留されたオランダ人女性2人が26~28日、長崎市を訪問。被爆者らと懇談し平和への思いを共有した。
 外務省が2005年度から取り組む日蘭平和交流事業の一環。訪れたのは、オランダ領東インド(現インドネシア)で抑留された経験があるイナ・シャーロッテ・エンシング・ブレスラウさん(82)と、アニータ・ルイス・ミデルブルフ・ビーハーさん(81)。
 2人は27日、長崎原爆資料館などを見学。長崎市の被爆者、築城昭平さん(95)の体験に耳を傾け、被爆の実相に触れた。築城さんは戦時中、動員先の造船所でオランダ人捕虜の男性とやりとりをしたエピソードを語った。2人は「福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所」で原爆の犠牲となった外国人捕虜らを追悼する記念碑にも足を運び、花を手向けた。
 28日には市役所を訪れ、田上富久市長と面会。エンシング・ブレスラウさんは「原爆資料館で被害の様子を見て、胸が痛み、今も多くの国が核兵器を保有していることに悲しい気持ちになった」。ミデルブルフ・ビーハーさんは「日蘭両国の間に平和の橋を架けることができた。二度と戦争がないよう願っている」と話した。


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