長崎大 世界レベルの感染症研究拠点「出航」 ワクチン開発の一翼担う

世界レベルの研究基盤が整ったことをアピールした長崎大感染症研究出島特区・高度感染症研究センター出航式=同大坂本キャンパス

 感染症研究とワクチン開発を進めるため長崎大が本年度設置した感染症研究出島特区と高度感染症研究センターの「出航式」が26日、長崎市坂本1丁目の同大坂本キャンパスであり、世界レベルの研究基盤が整ったことを学内外にアピールした。
 出島特区は熱帯医学研究所、医歯薬学総合研究科、熱帯医学・グローバルヘルス研究科、大学病院など、感染症に関する研究をしている同大の部局を横断的にとりまとめた拠点。民間企業と共同で研究開発に取り組む。
 長崎大は8月、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」に、シナジー拠点として採択された。同特区はその受け皿として、新型コロナウイルスでは世界に後れを取った国産ワクチン開発戦略の一翼を担う。
 同センターでは昨年、最もリスクの高い病原体を扱う「バイオセーフティーレベル(BSL)4」施設が完成。現在は職員の習熟訓練やマニュアルの実地検証などに取り組んでいる。今後、国の指定を受ければ、エボラウイルスなどを用いた研究ができるようになる。
 式典には井出庸生文部科学副大臣をはじめ関係者約150人が出席。河野茂学長は「全ての病原体を扱える研究施設は、(日本の)アカデミアでは初めて。ここをコアとして基礎から応用に至るまでの感染症研究を行いたい。将来のパンデミックにおいて重要な役割を担うことができれば」とあいさつした。


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