「医療体制は崩壊間近」 長崎県医師会 コロナ急拡大で緊急声明

「オール長崎で乗り越えたい」と話す森崎会長(左)=長崎市茂里町、県医師会館

 新型コロナウイルス感染者の急増を受け、長崎県医師会は19日、長崎市内で会見を開いた。医療提供体制が崩壊間近にあるとして、森崎正幸会長は「医療現場からの緊急声明」を出し、救急車の利用は緊急時のみとし、症状が軽い場合は夜間・休日の受診を控えるなど医療への負荷を少しでも減らし、必要な人に医療が届くよう県民に協力を呼びかけた。
 長崎大の河野茂学長や長崎市立病院機構の片峰茂理事長らも出席。声明では▽無症状の検査希望者は自身で抗原検査キットを利用▽解熱鎮痛薬を常備▽ワクチン接種の推奨-なども呼びかけた。
 森崎会長は「オール長崎で乗り越えたい」と述べ、救急車の利用については「歩いて乗り降りできる人が検査目的で利用するケースがある。生命に直結する呼吸困難や心臓疾患など本当に必要とする人の搬送に影響している」と訴えた。
 片峰理事長は長崎みなとメディカルセンター(長崎市)の状況について、「この1~2週間、コロナ病床はほぼ埋まっている。救急医療だけは何とか維持したいと考えていたが、50人くらいのスタッフが陽性者や濃厚接触者になり、影響が出ている」と説明。
 長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は約1200人に上っている施設療養者について「多くは高齢者施設。病院で診た方がいい人もいるが、アクセスできない状況もある」とし、既に医療崩壊が始まっているとの認識を示した。
 感染拡大を抑えるために行動制限が必要と思うかとの質問に、森崎会長は「必要とは考えていない」、他の出席者からも「必要」との発言はなかった。
 森崎会長は「数字に表れない現場の状況を知ってほしい」と、大石賢吾知事に医療現場の視察を打診。18日に4機関を訪れたことを明らかにした。


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