「青方念仏踊り」で先祖供養 保存会が3年ぶり実施 新上五島

町回りをする青方念仏踊り保存会の踊り子ら=新上五島町

 長崎県新上五島町青方郷の青方念仏踊り保存会(吉村芳郎会長)は14日、盆行事「青方念仏踊り」(町指定無形民俗文化財)を3年ぶりに実施した。コロナ禍で2年間中止していた。
 旧上五島町の郷土誌などによると、1592年の「朝鮮の役」に出陣、戦死した家来たちを青方氏19代玄種が、踊りで供養したのが始まりとされる。明治期までは盆だけでなく、干ばつ時の雨乞いや悪疫退散祈願としても行われていた。現在は先祖供養を目的に継承されている。
 白装束に編みがさ、腰みの、太鼓を携えた踊り子の高校生、青方郷青年団と保存会員ら約40人が3班に分かれて、かねや太鼓を打ち鳴らしながら「町回り」をした。郷内の商店や家など約230軒を訪ね、軒先で踊って供養した。
 吉村会長は「中止が続き、伝統の継承を危惧していただけに実施できてほっとした。かねの音を聞いてやっと盆らしさを感じる」。帰省中に踊り子として参加した県立五島南高1年、前田英千代さん(16)は「訪ねた先で感謝されるなど貴重な体験だった。来年も関わりたい」と笑顔で話した。


© 株式会社長崎新聞社