1日3000人なら「医療崩壊」 長崎大・泉川教授 確保病床数追いつかず

会見する泉川教授=長崎大学病院

 新型コロナウイルスのさらなる感染拡大が懸念されるお盆休みを前に、長崎大副学長で同大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は10日、長崎市内で会見し「1日3千人の新規感染者が出れば医療が崩壊する」と危機感をあらわにした。
 泉川教授は「病床使用の実情は県が公表している数字ほど余裕はない」と指摘。県は8月8日午後7時時点で、確保病床599に対して入院患者は318人(病床使用率53.1%)と公表しているが、同教授は独自に、確保病床以外の病院に入院しているクラスター(感染者集団)の患者がいるとして、同時点で入院患者380人、病床使用率63.4%と試算を示した。長崎医療圏に限ると病床使用率は69.6%に上るという。
 また長崎医療圏では10日時点で医師、看護師ら医療関係者少なくとも約270人がコロナ感染で休職していると明かした。主に家庭内感染だが、スタッフ不足のため、確保病床であっても運営できない病床が見込まれるという。
 泉川教授は医療逼迫(ひっぱく)の理由として、確保病床数がオミクロン株流行に追いついていないこと、医療関係者への感染拡大が予想以上だったことを挙げた。「既にコロナ診療と一般診療の双方に大きな影響が出ている。1日2500人前後でぎりぎり。これ以上増えれば、入院できずに危険な状況に陥る患者の数が増えてくる」と懸念を示した。
 帰省などの際には「高齢者に久しぶりに会うときには、事前にPCR検査や抗原検査をしてほしい。こまめな換気やマスクなどの一人一人の感染対策の徹底が医療現場を守ることになる」と強調した。


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