コロナ禍の雲仙農産物 ブロッコリー出荷額低迷 北海道不作でジャガイモは高値

雲仙市産ブロッコリーの選別、出荷作業=同市吾妻町、JA島原雲仙総合集荷場

 3年目に入った新型コロナ禍で、野菜は全国的に外食産業での需要が減り、出荷額が低迷している。さらに原油高で燃料や資材の価格が高騰。長崎県最大の農業生産地島原半島の雲仙市では、好調だったブロッコリーなどの葉もの野菜が打撃を受ける一方で、ジャガイモは高値が続いている。
 同市吾妻町を中心に生産されているブロッコリーは全国的に評価が高く、JA島原雲仙の雲仙ブロッコリー部会が2019年度の全国農林水産祭(農林水産省など主催)で最高賞の天皇杯を受賞。同JAからの出荷額は右肩上がりで、19年度は総額9億3千万円(キロ単価390円)だったが、新型コロナ禍が始まった20年度は総額8億7千万円(同353円)に落ち込んでいる。
 さらに原油高で、トラクターなど農機具の燃料費だけでなく、肥料や農地を覆うマルチ(被覆シート)などの資材も高騰。同部会の藤田稔部会長(55)は「単価が下がった上に生産コストもかさみ、いよいよ厳しい」と頭を抱えながらも、「コロナや原油高はどうしようもない。いまは耐えるしかない」と栽培を続けている。
 一方、ジャガイモはコロナ禍にあっても、国内最大産地の北海道産が天候不良で不作だったため、キロ単価が高い水準で推移。
 本県産の出荷量は北海道、鹿児島県に次ぎ全国3位で、その7割超が島原半島産。19年は本県産は7万9200トンで、うち雲仙市産が最多の3万7100トンを占めた。同JAが扱ったジャガイモのキロ単価は19年産が106円で、20、21年産はその2倍以上の高値が付いた。だが、21年は8月中旬以降の少雨で、12月の出荷量は例年の半分以下にとどまっている。

春作の植え付けがピークを迎えているジャガイモ畑=雲仙市愛野町

 いまは春に収穫するジャガイモの植え付けがピーク。同JAの雲仙馬鈴薯部会、浜﨑学部会長(56)は「これまでは高値に救われたが、春作も高値が付くとは限らない」と冷静な受け止め。「農業をしていれば良い年も悪い年もある。収量と価格が安定することが、生産者にとっても消費者にとっても一番いい」と、しみじみ語った。


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