2022年長崎県内経済 「回復」へ期待 第6波、供給制約の懸念も 企業・団体トップ調査

新年の県内経済の見通し

 十八親和銀行系シンクタンク、長崎経済研究所(長崎市)が県内111の主要企業・団体のトップに調査した2022年県内経済見通しは、「回復」予想から「悪化」予想の割合を差し引いた判断指数(DI)がプラス69.4となり、前年のプラス7から大きく改善した。新型コロナウイルス感染者数の減少で観光客などの人の動きが戻り始めているのを受け、低迷を続けていた景気回復への期待感が色濃く反映された。新型コロナの変異株「オミクロン株」による「第6波」、原油高騰や原材料不足に伴う供給制約の影響を懸念する。
 回答割合は「回復」(6.3%)と「やや回復」(66.7%)が前年比36ポイント増の計73%に上った。長崎市のMICE施設「出島メッセ長崎」開業に続き、今年秋の九州新幹線長崎ルートの部分開業による交流人口拡大を期待し、観光を中心にプラス要因となった。
 一方、「悪化」はゼロ。「やや悪化」(3.6%)と合わせても、昨年より大幅減。「横ばい」(23.4%)は前年比9.6ポイント減。造船、機械業の生産が停滞し、インバウンド(訪日外国人)の需要回復の遅れがマイナス面となった。
 国内経済見通しのDIは、前年のプラス21からプラス74.8に上昇。県内と同様、経済活動の正常化が進む一方、供給制約に伴う物価上昇への対応などが求められそうだ。
 長崎経済研究所の泉猛主任研究員は県内見通しについて「100年に1度といわれる県都長崎のまちづくりが進み、西九州新幹線が開通するスタートの年。長崎スタジアムシティ計画なども予定され、交流人口の拡大による力強い景気回復が期待される。一方で、原油や資材などの高騰による供給制約、海外でのコロナ変異株の確認などが懸念される」と指摘した。
 アンケートは昨年12月、選択肢と記述式で実施。業種別内訳は製造22、運輸10、水産2、建設10、卸売14、小売12、電力・ガス・通信4、サービス24、その他13。


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