佐世保で見つけた“小さな幸せ” SNSで魅力を発信 埼玉から移住「さいたまさん」

さいたまさんのインスタ

 長崎県佐世保市の主婦、さいたまさん(34)=ハンドルネーム=は、埼玉県から同市に移り住み、会員制交流サイト(SNS)で同市やその近郊の良さを伝えている。「季節の移ろいを五感で感じることができて幸せ」。日常の中の小さな幸せをかみしめているさいたまさんの暮らしをのぞいてみると、佐世保の魅力を再発見できそうだ。
 あるときは木々が真っ赤に紅葉した佐世保市、またあるときは晩秋の北松小値賀町。主に夫と二人三脚でSNSを更新し、四季折々の様子を伝える。「海の色や山の緑、まちの音を聞くだけで幸せ。外からの目線で良いところを伝えていけたら」と話す。
 悩み抜いた末の移住だった。夫の出身地である同市に移住することを提案されたときは「毎日泣いた」。生まれたときから32年間、埼玉県で暮らし、家族も友人もいる慣れ親しんだ場所から離れることが不安だったからだ。
 2020年4月に移住。決意させたのは、年に数回帰省する中で感じた佐世保の人の温かさ。「佐世保のまちを信じてみようと思った」。その後は「内向的な自分が変われるチャンス」と前向きに受け止め、楽しいことを増やして不安を解消しようと思い立った。その一つがインスタグラムの開設だった。
 移住を決めた20年2月から更新が続くインスタのフォロワーは400人超に。撮影するのは特別な場所ではなく日常の風景。埼玉県に比べて坂道の多さには驚いたが、坂を上り切って振り返った先に広がる景色は特別だった。埼玉では持てなかった、海を眺めながら過ごす時間がぜいたくに感じる。
 一番好きなのは佐世保市下船越町の展海峰からの景色。太陽の光でキラキラしている海に九十九島の島々のパノラマが望めるお気に入りの場所だ。「地元の人は佐世保に何にもないと言っているけれど、すごく良いところだと分かってほしい」と話す。

佐世保の日常的な風景を写真に収めるさいたまさん=佐世保市内

 今夏に始めたユーチューブは登録者が2500人を超え「地元だけど知らなかった」「新型コロナで帰省できないので懐かしい」などの声も寄せられている。動画を見た埼玉の家族も喜んでくれる。「見せたい景色があるって幸せですよね」と笑顔を見せる。
 佐世保を第2の故郷だと思えるようになった。これからもあちこちに足を延ばし、好きな景色を写真や動画に収めていくつもりだ。
 インスタグラム(@saitamasan_no_nagasakigurashi)。


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