県議補選 五島市区情勢 先の衆院選結果、影響いかに ポイントは投票率

支持拡大を訴える(右から)清川候補、山田候補=いずれも五島市内(右から届け出順)

 欠員に伴い26日に告示された長崎県議補選五島市区(定数1)は、自民新人で前五島市議の清川久義候補(55)と、6選を狙う無所属前職の山田博司候補(51)が一騎打ちを繰り広げている。山田候補も出馬した先の衆院選結果がどのように影響するのかが注目されている。
 「国、県、市のパイプをしっかりつなぎ、五島を復活させたい」。同市中央町で第一声を張り上げた清川候補。政権与党の立場をアピールし、国境離島新法を活用した経済活性化などを訴えている。
 10月末に投開票された衆院長崎3区では、同市出身の自民現職、谷川弥一氏が山田候補ら3人を退けた。清川陣営はこの勢いを持ち込みたい考え。ただ、これまでの県議選(補選含む)で、自民は山田候補に5連敗中。清川候補は旧町議、市議を計22年経験しているが、「知名度は(山田候補に)及ばない」と関係者は気をもむ。
 一方、山田候補は県議を自動失職する形で国政に初めて挑み、落選。その数日後には県議補選に出馬表明し、ほぼ休まず地域を回ってきた。「一から出直し、皆さんの生活を守る力になる」と主張し、市内の新型コロナウイルス専用病床の拡充などを掲げている。
 衆院選では同市で7800票余りを獲得し、谷川氏に840票差まで肉薄。陣営幹部は「何があっても崩れない強固な票がある」と自信を見せる。
 それでも、陣営が神経をとがらせるのが「自身の失職で空いた議席にすぐ戻るのか。多額の公費も使われる」(清川陣営関係者)との批判だ。山田候補もそういった声を意識し街頭演説などで「再び県議会で頑張ってほしいという声をいただいた」と強調する。
 こうした中、ポイントになりそうなのが投票率。衆院選後わずか1カ月余りで市民の「選挙疲れ」が懸念されるのに加え、衆院選で立憲民主の山田勝彦氏(比例九州で復活当選)が同市で得た約4200票の行方も見えない。このため両陣営とも2年前の県議選の65.48%を下回るとみる。
 清川陣営は告示前後、若手や女性の集会をそれぞれ開催。幹部は相手の強固な支持層を意識し「補選があると知らない有権者も多い。とにかく投票に行ってもらうよう呼び掛ける」と支持拡大に懸命。ただ別の関係者は「投票率が上がれば、相手も票を積み上げる」と読めずにいる。
 対する山田陣営も自民の組織票を警戒。幹部は「今までで一番厳しい選挙。投票率を前回並みまで上げて勝機を見いだしたい」と意気込む。
 有権者数は3万1066人(男1万4642、女1万6424)=11月25日現在、県選管調べ=。


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