皮ごと食べられる”高級バナナ”初収穫 南島原市、特産品化に期待

初収穫を迎えたバナナの生育状況を確認する上田代表=南島原市、PEACE

 皮ごと食べられる高級バナナを長崎県南島原市の特産品にしようと、昨秋から栽培を始めた同市深江町の「PEACE(ピース)」(上田功平代表)の農場で19日、初収穫の記念式典があり、関係者ら約30人が、たわわに実った房を木から切り取ったり、味わったりした。値段は1本800~千円、5本セット(4千~6千円)。事業を支援する市は新たな特産品として期待を寄せている。
 市は、遊休地の解消と高付加価値・高収益な新規農産物を調査する中で、国内外での国産バナナの需要の高まりに注目。同市の温暖な気候と日照条件が栽培に適地と判断した。
 昨年度、市は初期経費を軽減する「新規作物導入支援事業」で、栽培する市民を公募。建設業を営む上田代表(46)が「新規事業として魅力がある」と手を挙げた。ビニールハウス(約2千平方メートル)を活用して276本の栽培を始め、今年は約5400本の収穫を見込んでいる。
 バナナは一般に流通しているフィリピン産バナナ「キャベンディッシュ」ではなく、少し小ぶりな「グロスミッチェル」。香り高くて、さっぱりした甘みが特長。表皮が薄く、完熟すると皮ごと食べられる。
 収穫後、室温18~19度の室(むろ)で1週間ほど熟し、糖度を23度ぐらいにして出荷する。地元や関東、関西の高級スーパーで販売するほか、市のふるさと納税の返礼品にもなっている。
 上田代表は「試行錯誤の末、ようやく初収穫を迎え大変うれしい。今後は販売にも力を入れ、多くのお客さまにバナナを届けられるよう頑張りたい」と意気込んでいる。

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