深まる秋、古典芸能の世界へ 島原城薪能 子ども狂言も披露

金剛流能「半蔀」を演じる能楽師ら=島原文化会館

 島原の秋の風物詩「島原城薪能」(同振興会など主催)が9日夜、長崎県島原市城内1丁目の島原文化会館であった。舞や狂言、能などが披露され、約500人の観客を魅了した。
 薪能は島原藩時代に盛んだった伝統文化を後世に伝えようと、1983年に復活し39回目。新型コロナウイルス禍を受け屋内開催とし、「ユーチューブ」などで初めてライブ配信した。
 第1部の「肥前島原子ども狂言」では市内外の幼児から高校生まで約30人が、有明海の海の恵みを題材にしたオリジナル狂言「釣ろうよ」や、小舞「鶴亀の舞」「柳の下」など計7演目を発表。照明や設備に頼らず、体の動きと元気な声で表現力豊かに演じた。狂言師の野村万禄さん=福岡市=らによる和泉流狂言「蝸牛(かぎゅう)」も披露された。
 第2部の薪能では、舞台に和ろうそくの火がともされ、金剛流仕舞「笠之段」や大蔵流狂言「口真似」に続き、金剛流能「半蔀(はしとみ)」が上演されると雰囲気も最高潮。深まり行く秋の夜、観客を古典芸能の世界にいざなった。

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