壱岐に墜落 B29搭乗員を慰霊 参列者「次代に継承、平和発信」

石碑に献花し戦死者をしのぶテイラー首席領事=壱岐市郷ノ浦町、米軍戦士墓跡

 長崎県壱岐市郷ノ浦町の山中にある戦争遺構「米軍戦士墓跡」で21日、市民有志が初めてB29爆撃機搭乗員戦死者慰霊祭を開催した。在福岡米国領事館のジョン・C・テイラー首席領事と、海軍大将を務めた東郷平八郎のひ孫で元海上自衛官の東郷宏重さん(61)ら約30人が参列し、石碑に献花して故人をしのんだ。
 墓跡は1944年8月、日本軍との空中戦で付近に墜落した米軍B29爆撃機の乗組員3人の遺体を埋葬した場所。後年、遺骨を米軍が持ち帰ったが、埋葬場所に地元有志が2010年に石碑を建立した。
 慰霊祭には白川博一市長や市議、市民らも参列。昨年も慰霊に訪れているテイラー領事は「日米関係がここまで進んできたことは奇跡のように素晴らしいこと。犠牲を忘れてしまったら、戦争のような間違えをするかもしれない。大切な歴史を忘れてはいけない」。東郷さんは「こういった行事が次の世代に引き継がれ、語り継がれることを願う」とあいさつ。対馬キリスト福音教会の立石浩牧師が祈りをささげた。
 市消防音楽隊による葬送曲演奏、3遺族から寄せられた手紙の紹介もあった。
 慰霊祭の準備を進めた団体職員の立山淳さん(54)は「日米の友好を深めることにより、壱岐の島から平和を発信していきたい」と話した。

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