切り子灯籠 製作ピーク 島原の仏間や精霊船飾る

ピークを迎えている切り子灯籠作り=島原市、マルイチ葬祭作業場

 8月のお盆を前に、長崎県島原市内で家庭の仏間や精霊船を飾る伝統の「切り子灯籠」の製作がピークを迎えている。
 約380年の歴史があるといわれる島原の切り子灯籠は、白と青が基調色。和紙を張った多面体の木枠に造花などの装飾品を取り付け、面の4カ所に家紋を貼り付ける。初盆を迎えた家庭で飾られ例年15日、精霊船に飾り付け流される。
 島原半島に3社あるという製造会社の一つ、マルイチ葬祭(坂上町)は、約3千~4千個を作る予定。新型コロナウイルスの影響で、市などでつくる協議会が主催する形での精霊流しが昨年同様、今年も中止。精霊船の数が減少し切り子灯籠の注文数は、コロナ禍前の半分ほどに落ち込む。
 弁天町1丁目の作業場では、社員とアルバイトを含め約20人が、木枠の組み立てや造花の飾り付けなど一連の作業に追われている。12日ごろまで作業が続く見込み。森本久浩社長(57)は「コロナ禍の中で精霊流しは2年続けて中止。切り子灯籠を作り続け、島原の伝統文化を守りたい」と話した。

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