特撮映画美術 井上監督の遺功展 ゴジラシリーズなど 「ラドン」舞台 長崎県佐世保で来月29日まで

展示の解説をする三池さん(右)と東郷さん=佐世保市、島瀬美術センター

 ゴジラシリーズなどの特撮映画美術監督を務めた井上泰幸さん(1922~2012年)の遺功展「井上泰幸展」が、佐世保市島瀬町の島瀬美術センターで開かれている。8月29日まで。
 同展は、井上さんのめい、東郷登代美さん(71)と展示会の監修をしている特撮美術監督の三池敏夫さん(60)らが12年から企画し、内容を変えながら全国で巡回してきた。
 東郷さんによると、井上さんは福岡県出身。佐世保海兵団に入隊し、中国に出征して左脚の膝下を失った。戦後は佐世保海軍病院などを転々としながら治療を受けていたという。
 アルバイトで特撮に関わるようになり、1954年公開の映画「ゴジラ」から本格的に美術助手として特撮美術に携わり、以降絵コンテや精密なミニチュア制作に加え、怪獣デザインなどで東宝の特撮を陰で支えた。
 会場には、手書きのデザイン画や図面の原画など、井上さんの緻密さと仕事へのこだわりが垣間見られる計341点が並ぶ。佐世保も舞台になった映画「空の大怪獣ラドン」で井上さんが作ったデパート「岩田屋」のミニチュアを、まな弟子である三池さんが再現したものも初公開している。
 三池さんは「井上さんは『そこまで作り込まなくてもいいのでは』というところまで徹底的にやる人」。東郷さんは「ラドンの舞台であり、おじとゆかりのある佐世保でどうしても開きたかった」と話した。
 入場料は一般(高校生以上)1200円、中学生800円。

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