長崎大病院にトリアージ棟 非常時に患者の状態選別 9月末完成予定

長崎大「特殊災害・新興感染症トリアージユニット棟」イメージ図

 長崎大学病院(長崎市坂本1丁目)が、感染症流行や自然災害など非常時に運び込まれる患者の状態を評価し、収容先を選別する常設施設を敷地内に整備することが16日、分かった。9月末に完成予定。新型コロナウイルス対応では、陽性患者を入院させるか、宿泊療養施設で経過観察するかといった判断をする。
 文部科学省は全国35カ所の国立大学付属病院を対象に、重症や軽症などを選別する「トリアージスペース」の整備を支援する。多くの病院がスペースを確保する余裕がなく、非常時には仮設施設で対応している。他棟から独立させることで院内感染リスクを下げる効果も期待する。
 長崎大学病院によると、名称は「特殊災害・新興感染症トリアージユニット棟(TED棟)」。5月、国際医療センターの隣で着工した。鉄骨平屋約180平方メートル。新型コロナ感染拡大時は陽性患者の診察室や待合スペースとし、通常時は医療従事者の研修室など多目的に使う。整備費約1億円は国が全額助成する。
 同病院では、5月の新型コロナ感染第4波のピーク時、陽性患者の受診時間を振り分けたが、一時は10人以上が待つ状態になったという。TED棟は換気が良く、安全で衛生的な医療体制が整う。
 同病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は「一般的に『トリアージ』は災害時などの命に関わる患者の選択を意味するが、この施設は患者の状態を把握した上で、一番良い医療を選ぶための場所。しっかりした施設で多くの患者に対応できる」と話した。

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