十八親和銀行 減収増益 合併後初、通期決算 黒字に転換

合併後初の通期決算を発表する森頭取=長崎市銅座町、十八親和銀行本店

 十八親和銀行(長崎市)が14日発表した2021年3月期決算は、売上高に当たる経常収益が619億円、純利益が31億円だった。旧十八銀行と旧親和銀行の単純合算で、合併前だった前期と比べ19億円の減収、176億円の増益となり、両行とも赤字だった前期から黒字に転換した。
 昨年10月合併後初の通期決算。会見した森拓二郎頭取は「黒字に反転し、まずまずの数字を残すことができた」と評価した。合併効果の一つとして「新型コロナウイルス関連融資で(取引先に)より丁寧な支援ができたのではないか」と述べた。
 コロナ関連融資は6千数百件で計約1400億円を実行。貸出金残高を前期比7.3%増の4兆1307億円に押し上げる主因になった。コロナの地場経済への影響について、森頭取は「業績悪化で倒産に至る事例はまだ出ていない状況」と指摘。ただ、リスケジュール(返済繰り延べ)は400~500件規模で対応しており、「宿泊、飲食を中心に影響は多岐にわたっている。それぞれの事情に応じて支援したい」とした。
 本業のもうけを示すコア業務純益は前期比5億円減の90億円。低金利環境の長期化で、貸出金利息や有価証券利息が減少し、資金利益減につながった。一方、取引先の倒産が少なかったため引当金を戻し入れ、信用コストを圧縮。前期に不動産の償却費用を計上した反動もあり、経費を大幅に削減できたことで増益となった。
 22年3月期業績予想の純利益は38億円増の54億円を見込む。積極的な事業性評価で融資を伸ばし、店舗統合を本格化させて経費圧縮も図る。

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