無農薬コットン“里帰り” ハンカチに仕上げ協力者に返礼 雲仙・アイアカネ工房

集まった綿を箱詰めする鈴木代表(右)=雲仙市、アイアカネ工房

 長崎県雲仙市小浜町のアイアカネ工房が農薬を使わない綿(オーガニックコットン)栽培の協力を市民に呼び掛ける取り組みが、2年目に入った。この1年間に市内外で育てられ同工房に“里帰り”した綿は約120キロ。現在、ハンカチに仕上げて協力者に返礼品として贈る準備を進めつつ、引き続き種を配って栽培を呼び掛けている。
 同工房は、自家栽培の藍で染めた綿で衣料品などを作り販売。外国産の綿の布製品が主流になっている中で、同工房の鈴木てるみ代表(54)が「国内産の綿で糸を紡ぎ、織って布製品に仕上げたい」と、昨年4月に種の無料配布を始めた。
 取り組みは県内から関東まで広がり、個人や市民グループ、特別支援学校、福祉施設など計約90の個人や団体などが綿を育てた。
 戻ってきた綿が大量なため、種を取り除く作業を雲仙市内の福祉事業所2カ所に委託。小浜町の「おばまの森」の就労継続支援B型事業所では、利用者が綿から種やごみを分別し、工賃を得ている。同事業所工房長の堀川愛子さん(52)は「綿製品作りに携わることができ、利用者のやりがいになっている」と歓迎している。
 同工房は現在、大阪府の紡績工場に綿を送って糸紡ぎを依頼する準備をしている。鈴木代表は「多くの方の協力で想像以上の量の綿が里帰りしてきた」と感謝し、「ふわふわの綿が紡いだつながりを大切にし、ハンカチに仕上げるので、もうしばらくお待ちください」と話している。
 綿の種は同工房などで配布中。問い合わせは同工房(電0957.60.4234)。

綿に付いたごみを取り除く福祉事業所の利用者=雲仙市小浜町

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