デジタル教材化を正式発表 追悼祈念館と長大レクナ 被爆資料の伝え方探る

被爆資料のデジタル教材化に向けて「新しい伝え方を考えたい」と話す吉田センター長

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市平野町)と長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は28日、被爆資料を追加調査し、デジタル教材化する新事業を始めると正式発表した。レクナの知見を生かし、同館などで収集・保存している資料の分析や整理を進め、被爆の実相を国内外に広く発信する。
 同館が専門機関に業務委託するのは初めて。追加調査は、同館のほか、大学や民間団体が収集・保存している被爆体験記などを対象とする。
 デジタル教材は、証言や被爆直後の航空写真などを組み合わせ、被爆状況を3D技術で再現する。戦争や平和をテーマに国内外約70大学で開講されている「広島・長崎講座」に提供。教員向けの手引書を作り、オンライン指導で人材育成を図る。新型コロナウイルス感染拡大で来館できない外国人のために、外国語での作成も検討している。
 同日、オンライン記者会見で高比良則安館長は「収集・保存してきた資料の学術的な見直しを図りたい」、レクナの吉田文彦センター長は「被爆者がいない時代が近づく中、資料の新しい伝え方を考えたい」と話した。

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