江戸期の数学「和算」解説 難問の解法、歴史紹介 冊子制作 大村の研究家・米光さん

「江戸時代で最高峰の問題が大村にあったことを知ってほしい」と冊子をPRする米光さん=大村市水主町1丁目

 江戸時代に日本で独自に発展した数学「和算」の研究に取り組む長崎県大村市水主町1丁目、元高校数学教諭、米光丁(ひのと)さん(78)が、同市内の神社に奉納された和算の問題や解法を、手製の冊子「長崎県・大村市の算額」にまとめた。
 米光さんは約40年にわたり和算を研究。これまで多数の論文や著書を手掛け、新編大村市史の執筆にも携わっている。
 米光さんによると、「算額」は江戸時代の和算研究家が難解な問題の解答や解法を記し、絵馬として神社仏閣に奉納したもの。市内に当時の算額は現存していないが、八幡、春日、富松神社の3カ所に奉納された計6題の記録が残されているという。
 記録が残る問題は「茶わんのように削った銀球の中に金球を入れてつるした時の傾きの角度」「大中小三つの円が接する隙間に内接する円の直径」の求め方を問う問題などで「現代の数学をもってしても難解な問題ばかり」(米光さん)。冊子ではこうした問題の解説に加え、和算の歴史なども紹介している。
 米光さんは「和算の中には現代語訳すれば小学生でも解ける問題もある。江戸時代で最高峰の問題が大村にあったことを市民や県民に知ってもらい、和算に親しんでもらえれば」と話した。
 A5判、140ページ。非売品だが、コピーの提供などの相談を受け付ける。ミライon図書館に寄贈した。米光さん(電0957.54.4507)。

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