長崎くんち奉納踊り 2年連続中止 「ショックだ」 関係者ら 来年へ意気込みも

奉納踊りの中止を説明する池田宮司(右)=長崎市上西山町、諏訪神社

 「ショックだ」「子どもたちがかわいそう」-。長崎くんち奉納踊りの2年連続中止が決まった12日、関係者からは悲痛な声が上がった。新型コロナウイルス感染拡大の余波で踊町は再び繰り延べを強いられたが、「来年こそは」と意気込む声も聞かれた。
 阿蘭陀万歳を奉納する栄町は、既に3月下旬から稽古を開始。出演者たちは意気込んでいたという。会見に同席した尾上重道自治会長(72)は「コロナの変異株は子どもにうつりやすいとも聞く。(繰り延べは)やむを得ないと受け止めた」と苦渋の表情。「コロナが収束しなくても催行できる形をつくりあげなければ来年も難しくなる」と課題を見据えた上で「来年こそは頑張りたい」と希望をつないだ。
 江戸時代の捕鯨の様子を再現する万屋町の「鯨の潮吹き」。同町の藤野為信会長(71)は「(稽古や準備は)半年にわたって子どもから老人まで参加する。(くんちは)密になりやすく、感染症との相性が極めて良くない」と嘆く。さらに1年持ち越すことで進学などと重なる子どももいるのではないかとみて「参加できなくなればかわいそうだ」とおもんぱかった。
 長崎市立梅香崎中2年の林田諒(まこと)さん(13)は「(繰り延べが)いざ決まるとショック」と肩を落とした。本石灰町の「御朱印船」に囃子方(はやしかた)として出演する予定だった。父が根曳(ねびき)衆だったことで、くんちは幼少期から身近な存在。昨年は繰り延べが決まった後も、父と歴代の奉納映像を見て、リズムを身体に刻み込んできた。「稽古は時間が長くかかる。高校受験の勉強と両立できるかな」と不安をのぞかせた。
 田上富久市長は「来年、3年分の思いを込めて、最高の奉納踊りが見られることを楽しみにしたい」とコメントを発表した。

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