長大レクナが軍縮教材 人類、戦争巡る講演編集

広島・長崎講座向けの動画教材についてオンライン記者会見で説明した中村准教授(右上)ら

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は29日、国内外の大学に設けられた戦争や平和に関する「広島・長崎講座」向けの教材を初めて製作したと発表した。霊長類学が専門の山極壽一・京都大前総長が昨年、長崎市で人類や戦争に関し講演した内容を約50分に編集した動画教材。広島平和文化センターが各大学に活用を呼び掛ける。動画は同センターのホームページで視聴できる。
 広島平和文化センターは広島、長崎両市から委託を受け、各大学が独自に持つ戦争や平和に関する講義などを「広島・長崎講座」と認定し、教材提供や講師派遣などで支援している。現在、国内51、海外24の大学に認定講座がある。
 レクナは国際基督教大(ICU)との連携などを通して軍縮教育教材の開発を進めており、今回はその一環。動画教材で山極氏は、人類が進化の過程で育んだ共感力や社会力の活用が平和の鍵と指摘している。英語版もある。レクナの中村桂子准教授はオンラインの記者会見で「人類の歩みを振り返り、広い視野で議論できる教材だ」と語った。
 一方、ICUは同日、学生が長崎原爆資料館などで約1カ月間、ボランティア活動をしながら原爆や平和について学ぶ教育プログラムを促進するため、レクナ、長崎平和推進協会と覚書を交わした。ICUは2019年度から毎年2人ずつ学生を派遣し、レクナと同協会が協力してきた。今後さらに連携を深める。

© 株式会社長崎新聞社