英核弾頭増強「愚行だ」 長崎の被爆者5団体、抗議文

英政府の核弾頭の上限引き上げに対し危機感を示す朝長会長(右)=長崎市役所

 英政府が核弾頭保有数の上限を180発から260発に引き上げると表明したのを受け、長崎の被爆者5団体は23日、1月の核兵器禁止条約発効を引き合いに「『核なき世界』の流れに真っ向から挑戦する愚行だ」とするジョンソン首相宛ての抗議文を発表した。駐日英国大使館に送付した。
 英政府は16日、核弾頭の上限を2020年代半ばまでに180発まで削減するとした従来の方針を撤回した。核戦力を増強する中国やロシアへの対抗が狙いとみられる。被爆者5団体は抗議文で「驚きと怒りを隠せない」と強調し、ジョンソン氏に対して核に依存した安全保障からの脱却や被爆地訪問を訴えた。
 長崎市役所で記者会見した県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(77)は「今年は核兵器禁止条約の発効に加え(英政府のように)真反対のことも起きた。うかうかしていられない」と指摘。核軍拡の流れを食い止め、日本政府は核廃絶に貢献できるよう、海外の非政府組織(NGO)との連携などを通して被爆者運動を強化する必要があると述べた。

© 株式会社長崎新聞社