18世紀初頭以前を描く 長崎奉行所の絵図公開 長崎歴史文化博物館

諏訪神社所蔵の長崎奉行所絵図などを公開している特集展=長崎市、長崎歴史文化博物館

 長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館特集展示室(2階常設展示室内)で特集展「長崎奉行所展」が開かれている。展示に先立つ調査研究で確認された、18世紀初頭以前の立山役所、西役所を描いた「長崎奉行所 立山役所絵図」「長崎奉行所 西役所絵図」を公開している。
 両図は同市の諏訪神社が所蔵。1717年に立山役所が改造される以前の両役所の敷地や建物の配置を描いている。長崎奉行所を描いた絵図は十数点が知られているが、そのほとんどは19世紀の文化年間以降のもの。地元・長崎に残るものとしては唯一、改造前の様子を伝える。
 両図は経年劣化により近代に裏打ちが施され、西役所絵図には「西役所」などの書き込みがあった。一方、立山役所絵図には書き込みがなく、最近まで同神社の宮司の屋敷一帯を描いたものと考えられてきた。特徴的な正門付近の様相が改造前後で一変し、立山役所を描いたものとして判断できなかったことが考えられるという。
 同展では、立山役所跡に同館が建設される前に実施した発掘調査の出土品を中心に約80点を展示。1673年に同地に新設後、江戸期を通して長崎の市政や西国一帯のキリシタン取り締まり、貿易統制の拠点として機能した立山役所の姿を時代ごとに振り返っている。
 同館の担当者は「開館から15年が過ぎて、立山役所の遺物を初めてまとまった形で展示している。同展を見た後には奉行所ゾーンにもぜひ足を運んで、当時に思いをはせてほしい」と話している。
 展示は5月16日まで。3月15日、4月19日休館。常設展観覧料が必要。

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