思い出や希望 苗木に託す 島原半島高校生が卒業植樹

雲仙・普賢岳噴火災害で焼失した森の再生を願い、島原市南千本木町の砂防指定地にクヌギなどの苗木計約500本を植樹

 島原半島の高校を今春卒業した生徒や関係者ら約80人が7日、雲仙・普賢岳噴火災害で焼失した森の再生を願い、島原市南千本木町の砂防指定地約千平方メートルにクヌギやシラカシなど6種類の苗木計約500本を植樹。災害の記憶の継承と復興への願いを新たにした。
 市民グループ「雲仙百年の森づくりの会」(宮本秀利会長)が、高校生の卒業記念として1999年から毎年実施。例年は2月に半島内計10校の高校3年生が一堂に会しての植樹が恒例だが、今年は新型コロナウイルス感染防止のため見送り、自由参加方式とした。
 同会によると、火砕流で森が消失した千本木地区の砂防ダム周辺に、今回で累計約4.1ヘクタールに約3万3300本を植樹。宮本会長は「自分の分身を古里に残すつもりで、頑張る弾みにしてほしい」とあいさつ。
 参加者は雨の中、普賢岳の溶岩ドーム「平成新山」を間近に望む地で、約3メートルの桜の木15本や50~60センチほどの苗木を丁寧に植え、古里で過ごした思い出と自身の未来の希望を苗木に託した。県立島原農業高の卒業生で県立農業大学校に今春進学する本村瑞希さん(18)は「思い出が残る。元気に大きく立派になってほしい」と話した。

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