長崎県立高の学習合宿廃止 新年度から 教員の働き方改革理由に

 長崎県の池松誠二教育長は3日、県議会一般質問で、県立高校が受験対策で実施している宿泊学習合宿を新年度から原則廃止すると明らかにした。長時間労働が問題化している教職員の働き方改革の一環。現場からは「(残業を)どこかで削らないといけない。仕方ない」。一方で「主役である生徒の意見も聞いて」などの声も上がる。
 県教委などによると、合宿は主に夏休みに実施。受験する3年生が雲仙市の温泉旅館などに約1週間泊まり込み、朝から夜遅くまで自習などに取り組む。意識を高める意味合いもあり、少なくとも30年以上続いてきたが、指導する教員は長時間労働となっていた。
 2019年、教職員給与特別措置法の改正で残業上限は月45時間とされた。県教委は本年度策定した業務改善アクションプランの新年度に向けた改訂で、さらなる負担軽減のために学習合宿や新入生宿泊研修の原則廃止などを盛り込んだ。
 新型コロナウイルスを契機に、従来の学校文化を変える動きでもある。ある教員(46)は「コロナで昨夏は合宿ができず不安はあったが、校内学習で代替できた。コロナでいろんなことに気付かされた。(残業を)どこかで削らないといけない。保護者の金銭的負担もあり、総合的に考えれば仕方ない」という。
 経験者には、苦しかった記憶も残る学習合宿。約30年前に経験した長崎市の男性会社員(48)は「当時、どれほど学力が伸びたか分からないが、廃止するとしても主役である生徒の意見を聞いて」と注文。受け入れてきた雲仙温泉の旅館関係者は「営業面でも厳しくなるが、子どもたちが友人と集団で過ごす貴重な機会。続けてほしい」と話した。
 県教委は「教員のやる気に支えられてきたが、見直さないとつぶれてしまう。学校は成果が出る別の方法を検討してほしい」としている。
 坂本浩議員(改革21)の質問に答えた。

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