黒島天主堂の改修工事終了 「立派」「満足」、涙する信者も

修復工事を終えた黒島天主堂で営まれたミサ=佐世保市黒島町

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産「黒島の集落」(佐世保市)にある黒島天主堂の改修工事が終了し、現地で23日、記念のミサなどが営まれた。
 黒島には江戸時代、迫害などから逃れ、今の長崎市外海地区などから多くの信徒が移り住んだ。現在の天主堂は黒島に赴任したフランス人神父が設計し、信徒の協力で1902年に完成。ロマネスク様式の外観などが特徴のれんが造りで、98年、国の重要文化財に指定された。島民約400人のうち、約8割がカトリックを信仰している。
 工事は耐震化と老朽化した部分の修復を目的にカトリック長崎大司教区が発注し、2019年3月に着工。耐震化では外観を損なわないよう、金属棒をれんが壁内部に入れるなどした。屋根瓦は全て張り替え、しっくいを塗り直し、ステンドグラスも修繕。総事業費は約5億3千万円で、国や県、市が9割以上を補助した。
 朝長則男市長らが出席した竣工(しゅんこう)・引き渡し式で、同大司教区の高見三明大司教は「立派な教会に仕上げていただき感謝している」とあいさつ。工事完了に感謝するミサも営まれ、信徒の日数谷(ひかずだに)千秋さん(55)は「仕上がりは非常に満足。信者の中に涙が出たという人もいた。これから先、人が集う祈りの場所になれば」と話した。
 黒島観光協会はリニューアルを記念したオリジナル御朱印を24日から配布する。天主堂内部の見学には事前予約が必要。

黒島天主堂=佐世保市黒島町

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