【長崎県内主要企業・団体トップアンケート】「脱炭素化の進め方」 石炭火力休廃止、積極的1割 再エネ推進、半数を超える

県内企業・団体トップに聞く脱炭素化の進め方

 長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンクの長崎経済研究所(長崎市)が県内主要企業・団体に実施した新年トップアンケートでは、県内経済の話題についても尋ねた。4回に分けて随時紹介する。最初のテーマは「脱炭素化の進め方」。石炭火力発電所の休廃止に積極的なのは1割にとどまり、3割は慎重だった。再生可能エネルギーの推進を求めたのは半数を超えた。
 政府は2050年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げ、排出量が多い非効率の石炭火力発電所を30年度までに休廃止する方針。石炭火力発電所やメーカーの生産拠点がある県内への影響が注目される。こうした現状を踏まえ、七つの選択肢(複数回答可)と理由(自由回答)を質問。94人が回答した。
 このうち政府方針に沿って「石炭火力発電は積極的に休廃止すべき」としたのは10人だった。「環境保護は必然。少々のコスト高は社会として必要」(製造業)や「世界的な潮流を止めるのは難しく、原発の稼働も厳しい状況」(サービス業)などの意見が挙がった。
 逆に「石炭火力発電の休廃止は慎重であるべき」と答えたのは31人で積極派を大きく上回った。「エネルギー効率が高く、有効な電源」(卸売業)や「ガス排出は相当改善されている」(製造業)などと評価。「急激な変化への対応は経済的負担が大きすぎる」(商工団体)や「再生可能エネルギーは電力供給の不安定さや電気料金の値上げなど課題も多い」(別の商工団体)などとして、段階的な脱炭素化を求める意見が目立った。
 「原発再稼働も推進すべき」は22人。「太陽光や風力は主電源になり得ない。日本の脱炭素化はあくまでも原発稼働が前提」(小売業)とみる向きもあった。
 一方、最多の64人が選んだのが「太陽光発電や風力発電など既存の再生可能エネルギーをさらに推進すべき」。ある建設業は「原子力はコントロールが未知数。電気料金の値上げは極力避けるべき」と主張した。「洋上風力発電や潮流発電など新たな海洋エネルギーを推進すべき」も55人に上った。本県の海洋エネ関連産業集積策や五島市沖の洋上風力発電事業に期待する声が挙がった。
 このほか、ある製造業は水素燃料の活用を重要視した。

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