県独自の宣言発令から一夜 「前より危機感薄い」 長崎市民、外出恐れる声も

長崎市への緊急事態宣言が発令された翌日、中心部を行き交う市民ら=17日午後2時1分、同市元船町

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、長崎県独自の緊急事態宣言が長崎市に発令されてから一夜明けた17日、市民からは「外出は怖い」「前回(発令時)より危機感が薄い」などさまざまな声が上がった。市中心部のアーケードなどで人出の減少が見られる一方、大型商業施設では普段と変わらない光景も広がった。
 「(人が少なくて)遠くがよく見える」。浜町アーケードにある店舗の女性店員が通りに目を向けた。昨年12月以降、市内の感染者は急増。アーケード内の店舗から感染者が出たこともあり、発令前から人出は減少傾向にあるという。各店の入り口には新年の「SALE」の文字が躍るが、店内の客足は少なかった。
 買い物に来ていた女性(78)は発令を「しょうがない」と受け止めた。最近気になるのは自宅療養中に亡くなる人のニュースだといい、長崎の医療崩壊を心配する。人との接触を減らすため「寄り道はしない」と家路を急いだ。
 JR長崎駅周辺も人出はまばら。NTTドコモがまとめた17日午後3時現在の人出は、浜町アーケードが前日比20.1%減、長崎駅前が同4.2%減だった。
 一方、みらい長崎ココウォーク(茂里町)では、ファストフード店で前の人と距離を取りつつ列を作り、ゲームセンターでゲームに興じる学生ら普段通りの姿も多く見られた。長崎大2年の男子学生(20)は「春に発令された時より感染状況は悪いのに、慣れがあるのか危機意識は薄いように感じる。手洗い、うがいを今まで以上に気をつけたい」。
 前回の発令時は学校が一斉休校に。中学3年時に卒業前の別れの時間を奪われた高校1年の女子生徒(16)は「悲しかった」と振り返る。今回は休校まで求められていないが「(今後の影響が)心配。3月は部活の大事な大会もあり、練習を続けたい」と不安がる。
 設計業務に携わる市内の女性会社員(42)は、前回の発令を機に始めた在宅勤務を週1日のペースで続けている。県は18日から在宅勤務の推進を要請。会社の方針はまだ示されていないが、求められれば頻度を増やすつもりだ。2児の母でもあり「学校も仕事も外出は怖い。やりにくい部分もあるが在宅勤務の推進は歓迎」と前向きに捉える。
 県は20日から2月7日まで、県内全域の飲食店や遊興施設に営業時間の短縮を求めた。佐世保市で外国人バーを営む男性(38)は「要請期間中は休む。協力金をもらえるのはありがたい」。ただ、協力金対象外の業種の人から「飲食店ばっかりよかね」という声も耳にする。「正直、複雑。また一律10万円を配るなどして『みんなで頑張ろう』という機運をつくったほうがいいのでは」と話した。

 


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