佐世保から台湾へ アサギマダラの飛行ルート調査 1400キロの渡り バイオパークの伊藤副園長「解明につながれば」

伊藤さんが放ち、台湾西部の澎湖県で見つかったアサギマダラ(許さん提供)

 長距離を移動するチョウとして知られる「アサギマダラ」。長崎バイオパークの伊藤雅男副園長(59)が昨年10月に佐世保市から放った1匹が、約1400キロ離れた台湾西部の離島、澎湖県で捕獲された。伊藤さんが放ったアサギマダラが台湾で見つかったのは9匹目。
 伊藤さんによると、昨年10月20日に佐世保の弘法岳で放った121匹中の1匹。約1カ月後の11月17日に現地の研究家、許自由さんが見つけた。
 アサギマダラは羽を広げた長さが約10センチの大型のチョウで日本や台湾、韓国などに生息。春に北上し、秋に南下する。捕獲情報を取りまとめている長野県の愛好家によると昨年、日本から台湾への渡りは伊藤さんの1匹を含め、11例が確認されている。
 伊藤さんは1997年からチョウの羽に印を付けて、飛行ルートを探る調査を始め、これまでに8万匹以上を県内各地から放った。秋の南下で台湾に渡ったチョウはマーキングから1カ月前後に見つかる例が多いという。奄美や沖縄本島など琉球諸島での捕獲もあり、伊藤さんは「長崎から直接台湾へ行くのか、それとも、島々を経て渡るのか。ルートの解明につながれば」と話している。

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