長崎市に緊急事態宣言 19日間、県内飲食店に時短要請も

長崎市内の緊急事態宣言発令に伴うお願い

 中村法道知事は16日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大が続く長崎市に対し、県独自の緊急事態宣言を発令したと発表した。新型コロナ特措法に基づき県内全域の飲食店やスナックなどの遊興施設にも営業時間を午後8時までとするよう要請。期間は20日~2月7日の19日間で、応じた店舗には協力金76万円(1日当たり4万円)を支給する。
 長崎市を中心とする長崎医療圏は14日現在、感染状況を4段階で示す国の「ステージ」の六つの指標のうち、「最大確保病床の占有率」など三つが最高の「4」(爆発的感染拡大)を大きく超過。5~15日に県内で公表された感染者437人のうち同市は約半数の215人を占める。県は7日から市内での不要不急の外出を自粛するよう要請したが、16日に会見した知事は「効果は限定的。感染経路不明割合も増え、市中感染が広がっている。人と人との接触機会を減らすため、さらに対策が必要」と訴えた。

 飲食店などへの営業時間短縮要請を巡って県は年明けの時点で「大きな感染の場になっておらず考えていない」(知事)としていた。だが感染経路不明割合が増え市中感染が広がり「最も感染リスクが高いと想定される」(同)として要請に踏み切った。長崎市内に限定する選択肢もあったが、離島の飲食店でクラスター(感染者集団)が発生し、佐世保県北医療圏でも病床が逼迫(ひっぱく)している状況などを考慮し、県内全域に広げたという。
 このほか長崎市内では運動施設や遊技場などにも午後8時まで営業時間を短縮するよう要請するが、協力金は支払わない。県総合体育館などの県有施設も開館時間を短縮し、同施設でのイベントは中止する。
 また17日まで県内全域に発令している特別警戒警報は18日以降も継続。県内の感染公表者数は、9日の60人をピークに減少したが高止まり。高齢者の感染増加で入院が長期化し、専用病床占有率も全体で50%を超過。医療提供体制に支障を来しつつあるという。濃厚接触者らの感染は家庭内が約4割に上る。従来の不要不急の県外との往来自粛に加え、やむを得ない場合を除く離島との往来自粛などを求めた。
 営業時間短縮の要請対象は約1万店舗で、経費は事務費を含め約80億円。19日間すべてで時短に応じた場合に限り、1店舗当たり76万円を支給する。応じない店舗への罰則はなく、店名も公表しない。財源は8割を国が負担し、残り2割を県と市町で折半する。県は関連予算を18日開会見通しの県議会臨時会に提出するとみられる。

特別警戒警報発令に伴う県の要請
長崎医療圏のステージ判断指標の状況

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