『ふりそでの少女』冊子配布へ 平和の尊さ「同世代に訴えたい」

活水高平和学習部の生徒たちが作製している小冊子の見本

 長崎市宝栄町の活水高平和学習部(26人)が、原爆で犠牲になった少女を描いた絵本「ふりそでの少女」にまつわるエピソードをまとめた小冊子(A5判、18ページ)を作製中だ。1月中にも完成し、長崎原爆資料館(平野町)などで無料配布する予定。生徒は「冊子を通して、同世代の若い人たちの心に平和の大切さを訴えたい」としている。

 ふりそでの少女は、被爆者の故松添博さんが自身の体験を基に、原爆投下後に振り袖姿のまま荼毘(だび)に付される福留美奈子さん=当時(10)=と大島史子さん=当時(12)=の姿を描いた絵本。1996年には京都府に住んでいた、福留さんの母の願いをきっかけに、京都の中学生らの尽力で2人をモチーフにした像が原爆資料館前に建立された。
 同部は2005年から毎年8月8日、像の前で「碑前祭」を開いて少女を追悼したり、県内外の学校などで絵本の朗読をしたりするなど、絵本と深い関わりを持ってきた。同部顧問の草野十四朗非常勤講師(66)によると、生徒と同世代の少女の未来が奪われたことに思いを重ね、平和の尊さを伝えるために取り組んでいるという。
 冊子はこうした取り組みの一環として製作。タイトルは「ふりそでの少女-二つの物語」。2人の少女の生い立ちや、松添さんが絵本を描くまでのエピソード、像を建立するため募金活動に尽力した、中学生らのエピソードの二つを、写真や絵を交えてまとめた。
 外国人にも読んでもらおうと、英中韓と台湾の4言語に翻訳。長崎平和推進協会の補助を受け、5千部発行する予定。同資料館や国立追悼平和祈念館で配布するほか、国内外の学校との交流で贈呈する。
 ほかに、振り袖の形をした折り紙の作り方を伝える動画をユーチューブで配信する準備も進めている。生徒の藤村結さん(17)=2年=は「戦争によって2人の少女の未来が奪われたこと、どんなに小さくても、行動することが平和につながることを知ってほしい」としている。

© 株式会社長崎新聞社